メリル・ストリープ

第74回ゴールデングローブ賞。
功労賞に当たるセシル・B・デミル賞を受賞した、
大女優メリル・ストリープのスピーチに会場感涙

権力を持っている人が、
公の場で誰かを侮辱すれば
他のすべての人の人生に影響してきます。

軽蔑は軽蔑を招き
暴力は暴力を駆り立てる

権力者がいじめを行えば
我々全員の負けなんです。

演説抜粋

そんな中、今年、衝撃を受けた演技があります。それは心を捉えて放さない演技でした。なにも名演技だからではありません。それは演技とも呼べない粗末なものでした。でも効果的でした。狙ったとおりの効果はあげ、聴衆は歯を見せて笑いました。一国の尊敬を集める元首たらんとする人物が、障がいのある記者を真似て笑いものにした例の演説のことです。富、権力、報復力、そのすべてにおいて上に立つ人間が、ですよ。見た瞬間、私はなんだかもう心が粉々に砕ける思いがしました。今だに頭を離れません。なぜならこれは映画ではなく、現実の話だからです。

権力者が公の場で本能の赴くまま人を侮辱する見本を示したら、国民はどう思うでしょう。みなやっていいと思うのではないでしょうか。侮辱は侮辱の仕返しを呼び、暴力は暴力を呼びます。権力者がその立場を利用して弱い者いじめをする社会には勝ちも負けもありません。全員ルーザーです。

そこで記者のみなさまの力が必要なのです。権力の番犬、横暴を叱責する力。それが必要だから、建国の父は報道の自由を憲法に定めたんです。ハリウッド外国人記者クラブと業界のみなさまもぜひ「ジャーナリスト保護委員会」の支援にご協力をお願いします。この先、真実を守り抜くためには彼らの力が必要だし、彼らも私たちの力が必要だからです。

ワン・モア・シング。一度映画の収録で弱音吐いたときのことです。たぶん晩ごはん抜きとか、長時間ぶっ通しでやれとか言われたんだと思いますけど、トミー・リー・ジョーンズがこう言ったんです。「メリル、役者でいられるだけで特権だと思わない?」。本当にその通りですね。これが特権だということ、他者に感情移入することを生業とする者に課された責任をお互い忘れないようにしていかないと。

友人のレイア姫(キャリー・フィッシャー)が生前言ってくれた言葉のように、砕けた心を拾って、アートに変えていきましょう。


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